Rebroathome これからの家づくり 対談企画

空き家の活用法を探る【インタビュー】

投稿日:2018/05/28 更新日:

私の仕事は基本的に「家を建てたい!」という方、つまり新築で家を建てたいと考えていらっしゃる方のご相談に乗ることなのですが、

家づくりの専門家として見逃せないのは「空き家」問題です。

いま、空き家は年々増えていく傾向にあります。

※平成25年 総務省統計局「住宅・土地統計調査」

グラフのように年々空き家の数と率は伸びてきています。

さらに、今後の世帯数の変化のグラフ↓も見てみます。

統計局の世帯数の将来予測

*総務省統計局のデータ参照

実は、人口減少の中でもこれまでは、

  • 世帯数が延びてきていたこと。(将来予測では2023年がピークに)
  • 世帯人員は減ってきていること(小さな家づくりがより進む?)

というのが数字でわかります。

世帯人員の減少は、より小さな家づくりが主流になっていく可能性を示唆しているかもしれません。

そして問題となるのが世帯数の減少。

転換する時期がすぐそこまで迫ってきていることを考えると、必然的に今回の記事のような問題、つまり空き家をどうしていけば良いのか?は考えておく必要が出てくる方も多くなるのではないでしょうか。

「両親が亡くなって実家を相続したはいいけど、親が住んでいた家が空き家になってしまった…税金も毎年納付しなきゃいけないし、あのまま放置しておくわけにはいかない…」

という方は増えてきているようにも思いますし、相続対策、活用方法をビジネスにしている方も実際に増えてきているように思います。

パスワークデザイン酒井さん

空き家の活用は更地にするのが一番??

さて、もし自分の身にも空き家の問題が起こった時、

これまでのやり方は、

  • 空き家=解体

更地にして

  • 売却する
  • アパート等で相続税対策をする(アパートの造り過ぎの参考リンクは下でご紹介しています。)

という選択肢が一番だったかと思います。

これまでは、それなりに土地購入者の需要も多かったかとも思います。

ですが、これからもっと空き家が増えていき、世帯数の減少を考えていく中で、本当に

  • 空き家=解体して更地が良いのか??
  • お金を沢山かけてアパートを建築する必要があるのか??
  • 何か新しい活用法はないのか??

ということも考えておく必要もあるのかな?とも思っていました。

そこで、空き家対策について新しい提案をしている建築家さんへお話を聞いて来ましたので、インタビューとしてお送り致します^^

【パスワークデザイン一級建築士事務所:酒井さん】

少し事前情報として、今回取材をお聞きしにいった酒井さんに関してのご紹介ですが、私が酒井さんと初めてお会いしたのは、2017年の後半ぐらいのことです。

酒井さんは、建築家さんの中でも珍しいスタイルをとっていて、今は個人のお客様には、

  • 新築は土地から探している方と家づくりがしたい!

と、

  • リノベーション(減築も含めた)

の二つを中心に動いている方で、過去の経歴(ここでは言えないのですが^^;)も様々なご経験をされている方です。現在、特定地域での街の活性化にも取り組んでいて、そこに対しての興味があったので、取材に行ってきました^^

その中で、家づくりにおいての空き家の問題も話題に出た事もあり、このブログで一部を切り取ってご紹介をさせて頂ければと思っております^^

酒井 悠行:パスワークデザイン代表。1982年生まれ、地方組織設計事務所勤務後、現在パスワークデザイン一級建築士事務所を主宰。新築、リノベーションを中心に、個人、法人共に最適なありかたを提案するスタイルで活動。

骨組みの状態が良好なら解体せずに使える!

牧原 央尚Rebro at home牧原(以下、牧原):空き家問題って最近よくテレビでも見かけますが、基本的にはその空き家を解体して更地にしちゃうことで解決することが多いようです。しかし、住宅を扱う仕事をしている身としては「解体する以外の方法はないのかなぁ」と思うのですがいかがでしょうか。

酒井さん酒井さん(以下、酒井):無駄に税金が出ていくだけなら更地にして売ってしまおう!と思われる方も多いでしょうし、やっぱりどうしても日本だと『新築=良い!』という価値観がまだまだ強いので、せっかく土地を持っているなら古い建物を壊して新しいものを建てなきゃ!と思う方も多いと思います。

牧原:そういったことを考えると、解体して更地にした後は、売るか?アパートのようなものを建てて収益にするか?もしくは駐車場にして貸すか?などの選択肢が一般的だったかと思いますが…

酒井:そうですね。でも、もっと根本な話をすると、その古い建物を【味】と取って何かに利用する!という選択肢を考える必要もこれから出てくるようにも感じます。

牧原:残っている建物をうまくリノベーションすればまだ利用価値はある、ということですね。

牧原:例えば、リノベーションをして賃貸物件として貸す、などですか。

酒井:はい。もちろん立地や建物の状態にもよるんですが、うまく活用すれば新築を建てるよりも断然、利回りのいい収入物件に変えることは充分可能だと思います。

牧原:…う~ん、例えば、築30年というような建物でも大丈夫なんでしょうか?

酒井:重要なのは躯体、つまり骨組みですね。多くの方は、築30年と聞くと、『もうだめだな!』と思われるかと思うのですが…骨組みさえしっかりしていれば壊さなくてもまだまだ使える建物は多いですよ。

酒井:新築でアパートを建てれば、もちろんお金がかかります。ですが、躯体がしっかりしていればリノベーション出来るので、コストを劇的に下げることも可能です。利回りを考えても、回収期間をかなり短縮できることが考えられますね。

牧原:ちなみに、躯体の判断ですが、ホームインスペクションでの躯体状況チェックでもいいのでしょうか。

※ホームインスペクション:住宅診断士が第三者的な立場から建物の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やおおよその費用などをチェックしてアドバイスを行なう専門業務

酒井:はい、取りあえずはインスペクションを受けていただくぐらいで大丈夫です。勿論、最終的にはもっと詳しく見る必要がありますが、計画段階であれば躯体状態がわかれば良いので^^;

牧原:骨組み、基礎、柱や梁、屋根などですね。

酒井:はい。それらを活かすメリットはとても大きいですね。骨組みを残すことができれば、リノベーションでの内装UPや断熱材のグレードアップなどに費用を使ったとしても、新築と比べれば全然お得になることが多いですし。

牧原:費用のことを除いても、その建物に思い入れがある方も多いと思いますので、思い出も残りますしね。

※↑ 酒井さんがプロデュースしたシェアハウス(外観):とてもシェアハウスとは思えない^^笑 一般的な築年数の経った家をほとんどリフォームせずにシェアハウスに。

※↑ 中はこんな感じ(現在入居中)シェアハウスにした必要な費用は水周り設備の最低限の交換のみで、殆ど費用をかけずにシェアハウスとして利用。

用途にはどんな可能性があるの?

牧原:では、解体して【更地→新築を建てる】以外の利用として、どんな用途があるのでしょうか?

酒井:私がいま携わっている案件の中にシェアハウスとシェアオフィスがあるんですが、最近はシェアハウスもかなり浸透していますよね。
『人に貸す=アパート』ではなく、ほとんどそのままの状態で『シェアハウス』にしちゃう!ということができます。

牧原:酒井さんが携わったこの物件は、良い立地だったということも大きいですね。

酒井:はい。近くに大学があって、一人暮らしをしている学生さんがたくさんいる町で、学生さんとしては一人暮らしというよりもシェアハウスに興味を持つ方も多かったので、家の持ち主さんに話をしてそんな計画にしました。

こんな感じでシェアハウスができれば、学生さんの家賃も安くなるし、持ち主(オーナー)さんも一人の方に一軒家で貸すよりも収益は増えるし、良いことづくめです。
そして実はこの建物の隣にシェアオフィスを計画中なんです。

※現在改修中のシェアオフィス ↓

牧原:ここをシェアオフィスにするということでしょうか。

酒井:はい、芸術関係の学生さんが多いエリアでしたので、隣のシェアハウスに住む学生さんの作業場として、またそういった学生の力を求めている企業の事務所として複数の会社やクリエイターさんたちに使ってもらおうという目的です。

このシェアオフィスの最大の特長はやっぱり隣にシェアハウスがあるということ。ここでアルバイトや職業体験をしてもらえる付加価値があれば、シェアハウスも活きます。…企業でもいまは人員が足りていないところが非常に多いので、すぐ隣に声をかけられる学生がいるという面でもニーズがあるかなと考えています。

そのエリアで使い方を考えることが大切!

牧原:この隣り合う2軒の建物で産学連携ができる、ということですね。

酒井:このシェアハウス+シェアオフィスはあくまで一例ですが、古い建物を壊さずに利用する方法は、いろいろな可能性があると思います。その物件の近くにどんな施設があるのか、そういう観点から見ると明確なニーズが見えてきたりします。

牧原:現在あるシェアハウスは一人暮らしの学生さん・社会人向けのものが主流ですが、今後はファミリータイプも出てくるかもしれないですね。

そんなに簡単に大家さんになれるの?

牧原:では、例えばもう誰も住んでいない実家をシェアハウスとして活用して収入にしてみよう!と思った場合に、家を人に貸すってそんなに簡単にできるものなんでしょうか?

酒井:すこし専門的な話で色々と法規制などもあるので、簡単に『はい、できます。』とは言えませんが^^;専門家にご相談していただきながら進めれば、比較的できることも多いと思います。

酒井:私のようなシェアハウスを手掛ける建築家は各地にいますので、ネットなどで探して声をかけてもらえたらと思います。お金の面でも、最近は銀行さんによってリフォームでもローンが組めるようになっていますよ。

(*住宅用の不動産+リノベ費用はローンがいける銀行あるけど,事業用ローンはわからんっす。土地を担保とかにすればいけるかも?…との事でした^^)

牧原:シェアハウスってどうやって管理して行けばいいのか?シェアハウス特有の注意点などはありますか?揉め事が起きないように共有スペースをきちんと使ってもらうことなど、コミュニケーションの面ではどうでしょうか?

酒井:私が携わっているシェアハウスでは、月1回の定例会を開いて、その住人さんと私でルールを作ったり意見を挙げてもらう場を設けています。

牧原:酒井さんも参加されるの??

酒井:はい。今は私がその管理もしています。建築家の仕事でもないのですが…笑。そういった意味で言うと、ある程度はシェアハウスを理解している専門家のサポートが必要かと思います。

酒井:住居者に馴染んでもらうために、例えば、入居してすぐ大家さんも施工業者も私もみんな揃って鍋を囲んで夕食会をしたり、自然にコミュニケーションを取ってもらうよう努めたりします。

牧原:ここは少し疑問が残るところですが、大家さんと住居者の距離は近いほうがいいのでしょうか?

酒井:私は物理的にも心理的にも近いほうがいいと感じます。これはシェアハウスにのみ言えることではないですが、大家さんが近くに住むことで自然と建物もみんなが大事に扱いますしね。もちろんプライバシーは最優先ですが、やっぱり住まいって「楽しく暮らせること」が重要だと思います。

牧原:そういえば、ついこの前も芸人さんが出版した漫画がそういう内容で大きな賞をもらっていましたね。(笑)馴れ合い過ぎず、「顔も知らない隣人」になることもなく、疑似家族のような関係を作るのがいいということですね。


まとめ

今回は「空き家の活用法」について酒井さんへ詳しいお話をうかがってきました。

私は基本的に新築物件に携わることが多く、リノベーションに関してはたまに扱う程度ですが、「心地よく楽しい住まいを手に入れてもらう」という視点ではリノベーションした中古物件も大いにアリだと思います。

酒井さんのお話であったように、骨組みはまだまだ使えるのに…という建物がどんどん壊されていってしまうことも、考えるべき時代です。

ヨーロッパなどでは築100年以上の建物がたくさん残り、その味わいを楽しみながら上手にリフォームしつつ快適な暮らしをしている人のほうが多いようです。

「いまある資源を大事に使う」

というエコ観点でも、空き家の活用法の選択肢を増やして考える時代になっていますね。

何かのきっかけになればと思います^^

参考記事:アパートの「造り過ぎ」はなぜとまらないのか?(東洋経済Online)

↓↓↓過去の取材記事↓↓↓

1.家づくりには必須!火災保険の対談企画:ICM㈱鈴木さん

2.家を買うことって|デキる営業マンの見分け方:アッチーさん

3.家づくりの始め方:かえるけんちく相談所

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