4月、家づくりのお考えの方は気持ちも新たにスタート!とお考えの方も多いタイミングです。
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今回は、【契約後の思わぬ予算UPを防ぐためには?】という題材ですが、色々な口コミを見ていても思いますが、契約後の予算UPで『聞いてない!』という話は、よく書き込まれている内容です。
これから家づくりを考える人としては、『注文住宅にはこういった事も起こりえること』として、不安に思われている方も多いのかな?と思ったりします。
そこで、何故?
- 予期せぬ予算UPが出てきてしまうのか?
- それが後を絶たないのか?
に対して、3つの問題点をあげ、それをどのように解決すれば良いのか?をまとめてみました。『こんな感じになるんだったら、家なんて考えなければ良かった!』と最悪な状況になることを防いで、練りに練ってコラムを書いてみましたので、是非ご一読いただければと思います^^
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目次
契約後に予算が上がってしまう3つの問題
結論から話をすると、
- お客様の知識が増えていく
- 建築会社の契約前の説明不足
- 営業さんの数字合わせ
の3つで、まずは、この3つの問題点のうちの①と②について説明し、その上で、契約後の予算UPを防ぐ方法を具体的にお伝えしていきたいと思います。
これをおさえて頂ければ、多くの場合は解決できるはずです。
3つめの「営業の数字合わせ」とは、注文住宅業界アルアルでおまけで、少し悪意のある話で、住宅営業が無理な値引きの末に契約した場合に起こる事があり、この記事の最後に簡単に書きますね。
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問題点①:お客様の知識が増えていく
最初の問題点は、お施主様の知識が増えていくことです。
これは当然の話でもありますが、家づくりは、はじめ知識がほぼゼロの状態でスタートし、お施主様が家づくりの打合せが進めば進むほど、考える時間が経てば経つほど、『こんなやり方があるんだ!』とか『これもいいなあ!』という知識が増えていきます。
そして、新しい知識から、『これをしたい!』という気持ちが芽生えます。
『一生に一度、ずっと住む家だし、せっかくだから!』という感覚で、ここが予算UPの一番目の要因です。
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例えば、
この上の写真は、どちらも一般的な内装の写真で、この内装写真の提案を契約前の状態とします。
しかし、契約後にインターネットで施工事例の写真をいろいろと探し始めると、
と希望が出てくるのが、注文住宅です。『思い切ってこんな感じのリビングはどうだろうか?オシャレで素敵!』『キッチンに間接照明を設けたりしたいな~』と思ったりします。
その際、
お客様:『こんな感じの家づくりがしたいんだけど…』
営業マン:『この感じにすると…ザックリですが合計で300万円ぐらいかかるかもしれません。』
お客様:『…え、LDKだけで300万円??』
と、会社によっては、以下のような見積りが提示されます。
- 追加の構造計算費用:10~30万円
- 追加の窓の費用UP(庇含む):50万円
- 追加の壁のタイル費用のUP:10~30万円?
- 追加の天井の費用UP:照明計画も含めて30万円
と部材費用のUPだけで150万円ぐらいの費用UPと、さらに構造計算をしたのちに、全体的な構造変更などから、最終的な予算UPが300万円、となる事も出てきます。
もし!この話が契約前なら、それを聞いた上で「他社にも同じような見積りを出してもらい検討しよう」ができますが、契約後にそれはできません。
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【解決方法】
はい、ここで意識して頂きたいのは、契約後でも、お客様の知識が増える事で、「ああしたい」「こうしたい」はドンドン出てくるという事。
そしてこの問題の解決策は一つしかなく、契約前にできるだけ知識を増やし、自分たちの要望をある程度固める事になります。
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問題点②:建築会社さんの説明不足
次の問題は、契約時の状態をお施主様がしっかり把握させてもらっていないことで、つまり、会社さんの説明不足です。
契約時の状態とは、契約に含まれている、家の仕様などの把握、また、とくに、今後、予測される価格UPの話を会社がしてくれていないこと、です。
例えば、契約前に、問題①の話で300万円ぐらいあがっちゃうかも!ということを事前に説明を受けていない事をここでは問題としています。
ちなみに、なぜ話してくれないか?ですが、
- 上の写真のような家が施工できない
- 施工するために大工さんを変える必要があり予算が上がる
- 標準外工事で、他社よりも割高になってしまう
という理由が会社ごとにあります。会社の営業マンさんの立場でなって考えると、このような話を契約前にすれば、契約出来ない可能性を上げてしまうことにもなり、説明してもらえない場合が多くあります。
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【解決方法】
と言っても、お施主様としては事前に知っておきたいことですし、契約前に、『この会社はどこまで対応してくれるのだろう??』を見抜いていく必要がお施主様にはあります。
ですので解決方法としては、営業さんがそのような話を先まわってしてくれる事を期待するのではなく、お客様から『こういった事をすると、どれだけ上がるの?』を契約前に聞く!がポイントになってきます。
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契約後の予算UPの防ぎ方
では、上記のような契約後の思わぬ予算UPを防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。
私がお勧めする具体的な策はこちらになります。
の二つのタイプの会社さんを比較検討先に入れることです。
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デザイン提案をしてくれる会社を見る
【デザイン提案をしてくれる会社】であれば、こちらが何も言わなくても、上の写真のような提案を勝手に(笑)出してくれます。
そことの話を聞くことで、内装やインテリアの予算がどのように必要なのかを事前に知ることができます。
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性能を提案してくれる会社も見る
【性能を提案してくれる会社】を見ることで、『最大限に性能を上げると、金額がどこまで上がるのか?』を知ることができます。
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価格だけの会社さんは対応力を見る
また、上記の二つのタイプの会社さんではなく、価格重視の会社さんの場合は、原点に戻り、好きな施工事例の写真を見せて、『こんな感じだと、いくらぐらい上がる?』を聞いていただくこと
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3つのタイプの会社から、提案を受ける
ポイントは、自分たちの家として提案を受ける事です。
それぞれの強みを持つ会社さんを比較検討して知識を増やし、その知識を【腹に落とす体験】がものすごく重要に思います。
これは、これまで1000件以上の家づくり相談を行ってきて感じることです。
はい、ここまでは大丈夫でしょうか。
バランスよく会社選出をして、3つのタイプの会社から提案を受ける事が契約後の思わぬ予算UPを防ぐもっとも近道だと思って頂ければ幸いです。
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会社別の資金計画の比較の仕方
では、さらに次に進みます。
バランスのいい数社を選出できたあとの具体的な比較方法をご説明します。(*会社の選出の仕方は、また別のコラムで書いていきます。)
ここでは、実際の資金計画表を使って一緒に比較して見ていきましょう。
↓資金計画:A社とB社の比較↓
上の図は、A社(工務店さん)、B社(中規模クラスのハウスメーカーさん)を比較してみた資金計画表です。
A社のような大きな工務店さんは、地域で広告宣伝などもよくしてくれていますし、B社のようなハウスメーカーさんは、ハウジングセンターに行けば見つける事が出来ます。
グラフを見ていただくとわかりますが、最終的には、このA社とB社を単純にお金で比較したとしても、正直どっちもどっち…な感じになるかと思います。
このままだと、
A社:総額3800万円で43坪
B社:総額3800万円で45坪
と『値引き額が大きいから…何となくB社がお値打ちな気がする』『坪数が大きくて同じ金額ならB社のが良さそう』『B社の営業マンさんが良い感じだから』といった曖昧な判断でB社になりそうです。
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デザインと性能の会社を比較検討先に入れる
そこで、先ほどお伝えした2つのタイプの会社、C社とD社を入れてみます。
↓資金計画:A社、B社、C社、D社の比較↓
A社とB社にさらに、C社(デザイン提案)、D社(気密・断熱性能にこだわった大きな工務店)です。
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C社の資金計画
少し個別に解説していきますが、C社のポイントは以下の2つで、
- デザインにもこだわる為、現場が難しく、設計・監理費用が高い
- 本体価格に含まれている提案が違う
というのが、実際に説明を聞くことで解ります。
C社さんからデザイン提案を受ける経験をする事で、『C社以外の会社では、デザインアップのために、さらに200万円ぐらいの費用Upをみておこう』ということが見えてきたりします。
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D社の資金計画
D社のポイントは以下の3つで、
- 気密・断熱性能を高める工夫が解る
- 性能に予算をかけすぎていて、その為に家の坪数が小さい
- 造作費用などが完全に入っていない
ことがD社を見ると解ります。【性能を上げる】に関しては、今はインターネットなどで事前情報を掴む事も出来ますが、こういった所の提案を聞く事で、『自分たちはどこまで求めればいいのか?』を考えるきっかけとなります。
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例えば、『性能は大切だけど、間取りも大切!』と思ってA社で契約をしようとした時、
『A社の標準仕様のグラスウールの断熱材と第三種換気システムだと流石に心配だから、吹付断熱と第一種換気システムにグレードアップしたいな』
となれば、それを事前に会社に聞く事が出来るようになるということで、結果として120万円ぐらいの追加が必要!という事が解ります。
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このように、特徴の違う4社を比較することで、契約前に以下の表の赤色部分の予算UPを予測することができます。
↓資金計画:4社の本当の比較↓
※D社に関しては、坪数を35坪のままという前提で考えていますが、坪数を大きくした場合の想定も本来はしないといけません。
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色々なタイプの会社を見ることによって、契約前には見えていなかった【契約後の予算UP】を【腹に落として、測れるようになる】という事ですね。
是非、ここを意識して、会社選定をしてみて下さい。
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業界アルアル:営業さんの数字合わせって??
最後に、冒頭でお伝えした3つめ、営業さんの数字合わせに関してです。
『今なら、○○万円の値引きができます!』という営業トークは、住宅会社に限らずよくある売り文句です。
ですが、注文住宅の場合、実物が無いがゆえに、その売り文句に釣られて契約をしてしまうと、そのあと困ったことになる場合が多々出てきてしまいます。
契約後も家づくりの打合せは続きます。その際、家の仕様や間取りで追加・変更は必ず出てきます。
例えば、インテリアの打合せをしていて、リビングのドアを「やっぱりこっちにしようかな」と変える場合、営業さんから『このドアに変更すると、3万円上がります』と言われたりします。
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契約後の追加費用の金額は適正??
はい、ここが問題で、実は、「この3万円のUPが本当に適正価格なのか??」が、お施主様では判断できないのです。
特に、契約時に値引きをたくさんしてもらい、且つ、あまり検討時間を設けずに契約してしまった場合は注意が必要で、理由は、本当はドアの追加費用は1.5万円で済む…なんてことがあります。
これは、残念ながらかなり多くの場面で出てきているのが現状で、理由は、
- 営業さんが契約時にたくさん値引きをして、契約にこぎつける。
- だけど、会社(上)から「最終的に〇〇万円までは取り返せ!」と言われる。
- 困った営業さんは、値引き分を契約後の追加・変更で取り戻す。
…という流れで、今は物価上昇の時代ですので、今の方がそのような感覚が強くなっている会社さんも多いです。
そして怖いのが、営業さんがそれをしようと思えば、それをお施主様に気づかれずにできてしまうということです。
例えばドア以外にも、
- キッチン、お風呂、トイレの仕様UP
- クロス、フローリング、畳の仕様UP
- 外壁や屋根、基礎(地盤改良費用なども含めて)の仕様UP
などなど。はい、ほぼ全ての項目で、予算UPの要素というのは出てきますし、デザインや性能での予算UPの話はまた別です。
それらは、契約前に最低限確認しておくべき話でもありますが、あまり検討期間を設けず、勢いで契約してしまうと、こういった時の判断がしづらくなってしまうのです。
こういった事実があることは是非契約前に知っておいていただけたらと思います。いや、、、本当に怖い話で、それがどんな人にも当てはまるからです。
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今回のコラムをお読みいただき、今まさに家づくりをお考えの方がいらっしゃったら、たくさん値引きしてもらったからという理由で契約することはできるだけ避けていただきたく思います。
後悔のない家づくりを叶えるためには、金額面以外でもいろいろと考えた上で契約をしてくださいね。
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まとめ
2回目のコラム、かなり長くなってしまったので簡単にまとめますが、契約後の想定外の価格UPの原因を3つ
- お客様の知識UP
- 建築会社さんの説明不足
- 値引き後の取り戻し行為
がある事を知って頂き、そしてそれらを回避するためには、
- バランスの取れた会社比較をして契約前に知識を増やすこと
- 契約内容・仕様の他にも色々と検討をすること
- 値引き額だけで契約を決めない
がポイントになるということで、是非参考にしてみてください。
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間取り相談で感じる、家づくりの難しさ
はい、記事を書き終えたうえで、とても重要な話ですので、色々と補足を書いてみたいと思います。
私がおこなっている間取り相談で、色々な会社さんの間取りを拝見して改めて思ったのが、契約前の間取りの検討を【もっともっと】して欲しい!!です。
もっと色々と家の提案を受けて欲しい!
はい、契約後の思わぬ予算UPを防ぐ為にやってもらいたい一つとして、『デザイン提案を出してくれる会社さんを見ること』をあげました。
これは、これまでの家づくり相談で、そういったデザイン提案を受けた方から『こんな家づくりがしたかったのが解りました!!』という話を、本当に多く頂いている経験からの話です。
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間取りを簡単に決めない!!
で、話を戻しますが、間取り相談で感じることとして、良いも、悪いも、その会社さんでこれまで考えてきた間取りで、頭が固まってしまっているご相談者さんが多いことです。
そこを打開するためには、
- お施主様の知識や経験を増やして
- デザイン提案の会社さんから提案をもらって
- その経験を重ねること
がとても大切で、契約ギリギリまではとにかく色々な提案を受ける意識を強く持っていただくことが大切なように感じています。
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デザインと性能は両立できる!
また、こういった記事をお読みいただく場合、『私たちは、特に家にデザインは求めてないよ!』となる方もいると思います。
デザインという文字だけで捉えてしまうと【デザイン提案=見た目】という感覚で嫌悪感を抱く方もいるのですが、実際に提案力のある人たちの間取りを拝見していると、家本来の機能美としてデザイン提案をしてくれているように思います。
- 日当り
- 風通し
- 暮らしやすさ
- 収納提案
などの提案がベースにデザインはその副産物という感覚もあります。これらのベースは、パッシッブハウスの提案の本質でもあるように感じますし、ここでお伝えしている話は、それを含めたデザイン提案という話ですので、どんな方でもデザインの提案を受けて貰うイメージを持って頂ければ幸いです。
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性能に囚われすぎるのは要注意!!
また、本文で、【住宅の性能提案も受けよう!】という話をしています。
- 実際に性能の大切さの説明を聞き、
- それを体験する(出来れば入居者の家にいく)
所までやってもらえればと思っていますが、その上で。
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性能の判断はとっても難しい!
という事を、是非意識して頂ければと思っています。
例えば、性能が際立っている会社さんから提案を受ければ、『うん、やっぱりこの性能が必要だ!!』『この会社じゃないと!』となってしまいがちですし、お施主様としても、【この性能!この会社!】となってしまいます。
ですが、逆に『それはそれでもったいない!』と相談を受けていて感じたりもします。
先ほどもお伝えした通り、【住み心地】という大きな枠で考えれば、家の設計で色々と解決できる部分も多いです。
逆に、『この会社の性能は、あまり良くなさそうだな~』と思っていた会社さんでも、そこで性能の提案(住んでいる方の話を聞く体感)をしてもらう事で、『え、十分じゃん!!』となる事も大いにありえるからです。
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Q値1.6、C値1.6で十分じゃないの??
何故、このような事を言うのかですが、これは私の経験の話でもあったりします。
私がハウスメーカーに勤めていた時、木造の家も扱っていたのですが、その当時(今から12年ぐらい前)のそのメーカーでの家の性能は
- Q値(断熱性能を表す数値で当時はUA値ではなく、Q値でした)1.6
- C値(気密性能を表す数値)1.5
ぐらいでした。
当時のハウスメーカーさんの中で比較すると、この数値はかなり良い方でしたが2022年の今だと、木造住宅であれば、普通のレベルです。
(*現状でも鉄骨メーカーさんの商品では、このレベルまで来ていない商品も多いです。(特に気密性能はかなりの違いになるかと))
で、この数字でも良いのでは?という理由は、その当時でも、入居者さんからは、
『この家、とっても暖かくて、とっても快適です!』
『光熱費も全然かからないんですね』
と言われていたからで、勿論、諸所の設備関係などの条件を揃える必要はあるかと思いますが、結論として、『Q値1.6、C値1.6でも、性能としては十分!』だったりする事もあるのではないか??という感覚もあったりします。
(*ちなみに、この数値はZEH基準ぐらいになりますので、悪くはなく、一部の会社さんが、これ以上の数値でないとダメという表現が目立つため、記事としています。)
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家づくりに正解はない
性能提案にこだわる会社さんから、断熱材はこれ!換気システムはこれ!気密性能は絶対これ!となってしまうと、
- 価格的にどうしても無理が出てきてしまう
- デザイン(機能美)を活かせない
所も出てきています。
…勿論、それらをひっくるめてお値打ちな会社さんをみつける!という方法も無くはないかと思いますが、『一生に一度の家だから!』と後悔のない家づくりを考えた結果、そういった性能だけで家づくりを決めてしまうのは少しもったいないと思ってたりします。
何事も全体のバランスを考える必要があるということですね。
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