これからの家づくり 構造・性能

気密・断熱性能で“先ず!”知っておくべき3つの事

投稿日:2017/01/24 更新日:

先回の2017年の家づくりから、今回の記事まで、愛知県では珍しく、全地域が大雪でした。私も体調を崩してしまったりと、大変でした^^;

この時期は、“新しい家は、暖かい家が良いな”と本気で思われる方も増える時期ですね^^

早く、暖かい家が欲しい!

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気密・断熱性能、最初に知っておくべき3つの事

この記事は、家の気密性能・断熱性能の基本的な話と、家づくりの最初のタイミングで覚えておきたい知識をまとめています。

因みに、

気密性能

気密性能とは、家の隙間がどれだけあるか?を示していて、数値が低いほど家の隙間が少なく、それだけ、家の中の熱が逃げにくい、また外からの熱が入りにくいということになります。

断熱性能

断熱性能とは、家の断熱性能(保温能力)を示していて、数値が低いほど、断熱性能が高い家となります。家の中の熱を外に出さない、外から熱を入れないという話になります。

となり、家づくりを行う上でよく出る言葉にもなるので、先ずは言葉に慣れていただければと思います。また、先回の記事でもお伝えしましたが、これからの家づくりは、

“どこまで性能を求めるか?”を自分で考える!が重要になってきます。

その為、家づくりを考えた時に、最初のタイミング、会社選びの前に、ある程度の知識をつけておく必要が出てきます。

そこで今回の話ですが、先ずは、3つの基本的な話からしていきたいと思います。

3つとは、

  • 01.断熱性能を表す数値の表現が、Q値からUA値へ変わった。
  • 02.気密性能に関する基礎知識
  • 03.その会社の気密・断熱性をどう判断すれば良いか??

の3つで、とっても大切な知識になりますので、ぜひ、覚えてください。

Rebroathome02

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01.家の断熱性能は、Q値からUA値へ

先ずは基本的な知識です。

実は、家の断熱性能を表す表記が平成25年度から変わっています。

ただ、現状(2022年9月現在)でも、A社さんは断熱性能をQ値で表現しているのに、B社さんはUa値と言っている、という状況が出ています。

で、ややこしく感じるかと思いますが、どちらも断熱性能を表す数値で、下に変換図もご用意しているので、比較もできますのでご安心ください。

断熱基準の変化

  • Q値:熱損失係数=単位温度差当たりの総熱損失量÷床面積
  • UA値:外皮平均熱貫流率=単位温度差当たりの熱損失量÷外皮表面積

と難しい表現をするとこのような違いがありますが、違いは何か?を、簡単に言うと、Q値の計算からUA値の計算にすることで、家の断熱性能をより細かく計算できるようになった、という話です。

Q値だと、床面積での計算になり、同じ40坪の家ならどの家も同じ数値になっていたのが、UA値にすることで、家の形の違いから、同じ40坪で、同じ断熱材を使った場合の違いが表現できるようになったという話です。

Q値からUA値へ

*詳しくは、こちら:国土交通省の省エネ基準のカタログ

断熱性能の定義:建物内外温度差を1度としたときに、建物内部から外界へ逃げる単位時間あたりの熱量(換気による熱損失を除く)を、外皮等面積の合計で除した値。

と、定義(難しいのでサラッと流して頂き)自体は、以前と変わってません。変わったのは、今までの計算方法であったQ値計算だと、同じ床面積が40坪の家だった場合、

  • 吹抜けなどの間取りの違い
  • 2階建てと3階建ての違い
  • 総二階の家か、凹凸のある家かの違い

といった違いを表現できなかったのに対して、UA値の計算であれば、正確に計算できる、と言う話です。

解り易いイラストが、スウェーデンハウスさんから出ていましたので、そちらもご参考ください。

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Q値からUA値への比較!(国が定める基準値)

また、知ってもらい知識として、断熱性能を定めている国の基準値を知っておいて頂くと良いと思います。

*ZEH基準も含めて比較表を書いています。

Q値→UA値のグラフ

例えば、愛知県(Ⅳ地域)を見てみると、(↑上のイラストに小さいですが、すべての地域が書いてますので、ご自身の県を見てみてください。)

  • Q値の基準は2.7
  • UA値の基準は0.87(ZEHの基準は0.60)

と置き換わっており、例えば、北海道などの寒冷地(Ⅰ地域)では

  • Q値の基準が1.6
  • UA値の基準は0.46(ZEHの基準は0.40)

となっています。

はい、先ずはこういった変化があったことを知って頂き、その上で、建築会社さんには、『おたくの会社の断熱性能はいくつですか?』と聞いていただくと、断熱性能での会社の比較検討ができるようになります。

気密性能は現場が大切

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02:気密性能の基礎知識

次に気密性能の基本的な知識をご紹介していきますが、気密性能は、現場の品質と断熱材で決まる!という事を先ずは覚えておきましょう。

気密性能=現場の品質×断熱材

となります。

また、

気密性能=C値(数値が低ければ低い程隙間のない家)

という表現になりますが、実は断熱性能と違い、気密性能は、国の方で基準を設けておらず、地域による基準がないのが特徴になります。

ZEHなどの国が出している補助金関係でも、断熱基準はあるけど、気密性能の基準は設けられてません。

気密性能のおおよその目安

では、どのように判断すればいいか?ですが、大よその目安を下に書いてますので、そちらをご参考にしてみてください。

気密測定はオプション費用

さて、気密性能を表す数値は、C値という値で表現されますが、この数値を出すためには、実際に家の完成後、現場で機械をつかって測定をすることになります。

測定に10万円近くの金額がかかることから、オプションとしての扱いをしている会社さんも多いので、こちらも認識をしておいて頂ければと思います。

はい、話を戻しますが、上記でお伝えしたように、断熱性能は、計算上、設計上の話で、気密性能は、現場の品質と断熱材の話です。

つまり、“断熱性能(設計)× 気密性能(現場:施工品質)= 暖かい家のレベルが解る”と言え、いくら断熱性能を設計上で高めたとしても、気密性能がよくなければ意味がない!ということになりますし、その逆もしかりです。

、、、この表現だと、かなり短絡的な表現になりますが、大雑把に把握して頂く為には十分かと思います。

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気密性能を高める為には、どうすれば良い?

断熱性能は建築会社さんに『標準的な断熱性能はいくつ?』と聞いていただければ、大体の会社さんから『これぐらい!』という応えが返ってくる事に対して、

気密性能は一つ一つが現場での測定なので、『過去にやった時は○○でした』という応えになってきます。

また、断熱性能を上げるなら、設計で、

  • 窓の仕様を良くする
  • 窓の面積を減らす
  • 断熱材の仕様を良くする
  • 壁の面積を増やす

する事であげる事が可能です。

別の言い方をすれば、どの会社さんでも断熱性能を上げる対応が可能という話にもなります。*その為の費用UPは必要になります。

ですが、気密性能に関しては、現場測定、現場品質が影響する為、単純に計算でなんとかなる訳ではありません。

という事で、

  • 気密性能を高める為には、どうすれば良いか?

ですが、

すみません、こちらも実は、壁の中の断熱材を何にするか?を考えて頂くだけで、大きく改善が出来たりします。

はい、気密性能は、実は採用する断熱材を変えるだけでかなり高められることがわかっています。

例えば、家づくりで一番つかわれるグラスウールという断熱材があるのですが、グラスウールと気密性能はあまり相性がよくありません。(断熱材の経年変化も考えて)

それを採用せずに、吹付の断熱材にするだけで、気密がグンと上がります。はい、気密を高めるなら、吹付系の断熱を採用するという事を先ずは知っておきましょう。

、、、こちらも厳密な話をすれば、そこまで簡単でも無いのですが、家づくりの最初のタイミングでは、ここを覚えておいて頂くと良いかと思います。

吹付断熱というと、ウレタン吹付アイシネンアクアフォームなどが代表的な断熱材の名前になってきます。

***

因みに、もう少し細かい話をすると、気密測定は、家の現場で実際に隙間を測っていくことになりますので、気密測定中に『あ、ここで風が洩れてる!!』というのも解ります。

ですので、その場で穴をふさぎ、C値(気密性能)を上げる事も出来たりします。

気密性能にこだわる場合、

  • 01.気密測定をしてくれる会社かどうか?
  • 02.現場での立会をしてくれるか?

の順番に確認して頂くと良いかと思いますし、また、

  • 気密測定をする
  • 現場修復(一次修正)
  • 再度気密測定をする(二次修正:より完成に近いタイミング)

といった工程を考えると、施工期間にゆとりがある方が良い事もご理解頂けるかと思います。

*一回の気密測定は数時間あれば終わりますが、準備やその為の打合せなども測定業者さんと組む必要がある為、そもそも引渡し期日がぎりぎりの場合などは、そういった対応をしてもらえない事もありますので、検討する建築会社さんには、事前に確認をしておいて頂くと良いかとも思います。

KAI君

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気密性能・断熱性能をどのように判断していく??

という事で、もう少しリアルな話をしていければと思いますが、

今は、木造の注文住宅市場であれば、

  • Q値=1.5前後(UA値で言えば0.5前後)
  • C値=1.5前後

は当たり前の時代です。この数値はこの数値で10年前と比較すればかなり高いレベルの家になり、私としては、この数値があれば、十分とも考えています。

もちろん、それ以上の性能を出せる(謳っている)会社さんも多くあります。

代表的なのは、一条工務店さんで、

  • Q値:0.5(カタログ値)
  • UA値:0.25(カタログ値)
  • C値:0.59(平均値)

というかなり高性能な家づくりをしている会社さんもあります。

因みに、ハウスメーカーさんの場合、

  • 木造系メーカー:Q値:1.5(UA値0.5前後)・ C値:1.0前後
  • 鉄骨系メーカー:Q値:2.0前後・ C値数:値不明

ぐらいが平均で、鉄骨系メーカーさんの断熱・気密性能は一般的な家づくりよりも弱かったりしますので、知識としては覚えておいていただけると良いかと思います。(鉄骨造の家づくりと気密・断熱性は相性が悪い為です。

さて、話を戻しますが、

先述した通り、Q値1.5、C値1.5ぐらいあれば十分だったりする性能ですが、『自分たちはどこまで気密・断熱性能が必要なのか?』を逆に考えることも可能で、それほど難しい施工にもならない為、逆にこちらから依頼することもできます。

***

気密・断熱性能の注意点

ここで少し注意点をお伝えしていきますが、例えば、家全体の窓の量を減らせば、断熱性能は上がります。

  • 暖かい家をつくる=窓を少なくする
  • 暖かい家をつくる=家を小さくする(コストを断熱に回す)

となりますが、例えば、気密・断熱性能に拘りすぎて、窓が少なかったり、家が小さくなったりして、『住みづらい間取』『デザインがカッコ悪く』なりすぎるのも考え物。

そもそも現状の気密・断熱性能のレベルは高く、どこまでこだわるべきか?のバランスをお施主様が考えていかなければいけません

さて、ここで質問ですが、

  • 断熱性能:Q値が1
  • 気密性能:C値が1

  • 断熱性能:Q値が1.5
  • 気密性能:C値が1.5

の家の違いがどれだけあるか?、、、の体験的な話をすれば、家が実際に建った後でも『、、、??』となる話です。*細かい光熱費などの違いは出てきますし、Q値が1と2.7、C値が1と5という違いであれば、かなりの違いがあります。

【知識:Q値1.5でも十分暖かい!】ーーー

これは、私が以前勤めていたハウスメーカー時代の経験(7年前ぐらいの話です)ですが、私が勤めていた会社の木質系住宅は、当時で1.6(Q値、C値共に)ぐらいのレベルの家づくりをしていました。

当時(15年ほど前)の家づくりで言うと、そのレベルの気密・断熱性能は他で殆ど出来ていない状態だったこともあり、ご入居者様からは、“かなり暖かい!!!”“冬場でもTシャツで過ごすことが出来る”と評価を頂いておりました。

こういった事を考えれば、Q値が1.5ぐらいあれば、十分に暖かいのでは??とも考えられる話です。

ーーーーー

因みに、気密・断熱を上げる為にはお金もかかる話ですので、そういった所でも、どこまで求めるの?は考えておきたい所。

***

また、別の観点から、“体感温度としての暖かさ”を考える場合、合板のフローリングか無垢のフローリングでも、体感の違いがあり、無垢フローリングように足元の熱を奪っていかない素材を採用するだけでも、家の快適さはガラッと変わります。

また、換気システムなど機械を考えていく、別の方法で気密・断熱性能を高める方法もあったりします。

気密・断熱の体感としての最終的な判断方法としては、入居者見学に行きその方の話を聞いてみるのが一番かもしれません。

はい、という事でまとめれば、家づくりの最初のタイミングでは、知識は持って頂きつつ、あまり数値にこだわらず、進めていくのが正解ではないかなと思います。

家の暖かさを決める要素は色々ある

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まとめ

今回は、気密性能・断熱性能の基本的な話をまとめてみました。また、高気密・高断熱住宅にする事で、気になる価格的な影響は、会社によっても違ってきますし、頑張っている会社さんもお見受けします。

ということで、最終的には会社ごとの判断をしていただければと思います^^;

次回、“パッシブハウス”に関してお話しをしていきたいと思います。

ではでは。

↓↓↓参考記事はこちら↓↓↓

先回の記事:2017年は価格の2極化、性能での差別化ができない!がより進む?

参考記事1:やっぱり木造が良いと思う!

参考記事2:そろそろデザインが最初の家づくり

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-これからの家づくり, 構造・性能

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  1. […] 【参考リンク03】:気密・断熱性能で“先ず!”知っておくべき3つの事 […]

  2. […] *断熱性能、基準に関する表は先回のブログでお伝えしておりますので、そちらもご参考頂ければと思います。|2017年の家づくり!気密・断熱性能 […]

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